かほく市の小中学校に「はだしのゲン」を寄贈

核廃絶の取り組みは、核被害の実相を知ることから始まる――。

核戦争を防止する石川医師の会(以下、反核医師の会)では、被爆の実相を子どもたちに伝えるため、2011年より石川県内の小・中学校等に漫画「はだしのゲン」全10巻(以下、ゲン)を寄贈する取り組みを行っており、2021年1月末現在、11市町の小・中学校等に79セット、英語版2セットを寄贈してきました。

当会の寄贈運動の大きな特徴を2つご紹介します。一つは、寄贈前に、教育委員会を通じて各小・中学校に「ゲン」の所蔵状況や貸出状況、寄贈希望についてアンケート調査を実施していること。この調査によって、県内の多くの学校が既に「ゲン」を所蔵していることや、そのほとんどがボロボロになっていることがわかりました。この調査の利点は、単にこういった情報を私たちが入手できるという点にとどまりません。教育委員会や学校側にもそれを知ってもらうことで、改めて「ゲン」の存在や、世代を超えて子どもたちに読み継がれていることを認識してもらう機会になっていると感じます。そして、もう一つの特徴は、寄贈の際に教育長や学校長と懇談を実施すること。それにより、教育委員会や学校における平和教育の在り方や考え方を直接お聞きしたり、私たちの会やその取り組みを知っていただける機会になっています。

こうしたなか、今年1月19日、かほく市教育委員会の山越充教育長を訪問し、かほく市の全校(小学校6校、中学校3校)にゲンを寄贈してきました。今回の懇談には、英語版(Barefoot Gen)の中学校への寄贈のため、NPO法人はだしのゲンをひろめる会(以下、ひろめる会)の理事も同行。反核医師の会からは江守道子代表世話人と私、ひろめる会から西多喜代子さんと神田順一さんの4人での訪問となりました。

応対して下さった山越教育長は、幼少期に「少年ジャンプ」で「ゲン」を読んでいた世代とのこと。「『ゲン』は、被爆の実相を伝える良書であることはもとより、踏まれても立ち上がる麦のようにたくましく生きる姿が描かれている。それがこの漫画の醍醐味。久しぶりに読み直したい。」とおっしゃられました。

「はだしのゲン」を寄贈する江守代表世話人(右)と山越教育長

教育長によれば、かほく市では2020年度より全校に司書が配置されたそうです。単に本の貸し出しだけではない、司書の役割の重要性について触れられたので、こちらからは、「核兵器禁止条約発効直前のタイミング。そのことも踏まえた形で、多くの児童・生徒にゲンを読んでもらえるように配慮いただきたい」と伝えてきました。

この「はだしのゲン」寄贈運動は今後も続きます。「ゲン」未寄贈は珠洲市、加賀市、羽咋市、穴水町、能登町。引き続き、調査と懇談をセットで寄贈運動を進めていきたいと思っています。また皆さんに良い報告ができることを楽しみにしています。

はだしのゲン50周年

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