『はだしのゲン』削除撤回を求め声明発表

漫画『はだしのゲン』が広島市の小学校の平和教材から削除されることを受けて、2月24日、削除撤回を求める声明を以下の通り発表しました。石川県内の小・中学校に『はだしのゲン』寄贈運動を行っている当会としても、今後も『はだしのゲン』が多くの子どもたちに読み継がれていくことを心から願っています。⇒参考:加賀市小中学校にゲン寄贈

 

「はだしのゲン」の学校教材からの削除撤回を求める声明

 令和5年2月8日付で公開された「平和教育プラグラムの改訂について(報告)」では、広島市教育委員会で2013年度より活用されている学校教材「ひろしま平和ノート」において、2023年度より、小学3年生向けの教材の中から、漫画「はだしのゲン」に関する掲載箇所を削除する旨の報告が記載されており、この改訂にあたっては、各種媒体においても大きく報道されています。

広島市教育委員会は、今回の掲載削除について、「漫画の一部を教材としているため、被爆の実相に迫りにくい。」との理由を挙げています。具体的には、浪曲が登場する場面が児童の生活実態に合わない、鯉を盗む描写が誤解を与えるなど、補足説明を要するために教材として扱うことが難しいとされています。

しかし、たとえ切り抜きだとしても、その場面に描かれた風景や登場人物のセリフ一つひとつが、被爆の実相や戦前・戦後の生活実態を知る重要な記録と言えます。特に「はだしのゲン」は、漫画という子どもたちにとってより伝わりやすい形で、当時の広島の生活状況、被爆の実相を学ぶことができる良書であるからこそ、2013年当時、「ひろしま平和ノート」に教材として採用されたのではないでしょうか。

原爆の被害を前に、医師は余りにも無力となることを、私たちは先の戦争から学びました。治療が難しいならば、予防しなければなりません。当会では、若い世代に核被害の実相を伝え、核廃絶運動を広げていくために、2011年より、石川県内の小・中学校に「はだしのゲン」を寄贈する取組を実施しており、広島から遠く離れた石川県でも多くの子どもたちに読み継がれています。

原爆投下から77年が経過し、被爆者の方のお話を直接伺う機会が減った今、ゲンが伝える被爆の実相と継承の価値はますます大きなものとなっています。「子供から、はだしのゲンを遠ざけるつもりは全くない」との広島市教育委員会の発言が報道されていますが、それならば、すべての小・中学校への配架など、今後も「はだしのゲン」が多くの子どもたちに読み継いでもらえるよう一層の工夫が必要であり、平和教材からの掲載削除はそれに逆行するものではないでしょうか。私たちは、教材からの削除撤回と、「はだしのゲン」のさらなる活用を求めます。

    2023年2月24日

核戦争を防止する石川医師の会

                  代表世話人 江守道子

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