戦後
71年が過ぎ、被爆者の平均年齢は80才を超えました。被爆体験をお話ししてくださる方は少なくなり、被爆の実相をどのように子どもたちに伝えていったらよいのか、私たちは今大きな岐路に立っています。
石川県原爆被災者友の会では被爆証言を映像で残す作業を、2世の方は手作りの人形を使ってご自身のお父さんやお母さんの体験を語るなど、石川でも工夫を凝らした取り組みが始まっています。
そんななか、核戦争を防止する石川医師の会は、漫画『はだしのゲン』(全10巻)を県内の小・中学校に寄贈する取り組みを行ってきました。これまでに8市町65校に66セットを寄贈。
10月21日に、金沢と鳥越に校舎をもつフリースクール「ワンネススクール」に寄贈したことで、66校に寄贈したことになります。
今回訪問したワンネススクール(金沢校舎)では、この日、12,3人ほどの生徒さんが思い思いの時間を過ごしていました。そんな生徒さんたちに、「『はだしのゲン』を読んだことがある人?」と聞くと、手を挙げたのは4、5人。そこで、当会代表世話人の白﨑良明医師は、作者の中沢啓治さんも広島の被爆者であることから話を始めました。
中沢さんは二度と戦争の悲劇を繰り返してほしくないという思いで、自身の体験を一生懸命この漫画に描かれました。しかし、世界には今なお約15,350発もの核兵器があります。そのたった一発でも私たちの町に落とされたら、近くにいる人々は瞬時に消えてなくなってしまうほどの威力があるのです。それを知った生徒さんたちは、「信じられない」という風に驚いていました。このほか白﨑医師は、放射能の問題は後遺障害という形で今なお被爆者を苦しめていることや、2011年に過酷事故が起きた福島第一原発の建屋内には高線量のために数十分いただけで死んでしまう大変危険な場所があること等に触れながら、「命を守る医師の責任として、戦争や核の恐ろしさを伝えるために『はだしのゲン』を寄贈しています。皆さんには、ゲンと友達になるつもりで読んでいただけたら」と訴えました。
白﨑医師の話を聞いた生徒さんは、「核兵器は遠い存在だと思っていたが、すごく身近な問題に感じた」「すぐにでも『ゲン』を読みたくなった」と感想を述べていました。近い将来、ゲンと友達になった生徒さんたちと、核廃絶に向けて一緒に取り組むことができたら嬉しいですね。
私たち医師の会では、今年、志賀町への寄贈も予定しています。4校ある小・中学校には『ゲン』が揃っているため、今回は町立図書館に寄贈します。このことはまた次の機会に報告できればと思っています。



